世田谷線各駅紹介 上町変電所(上町駅構内)

所在地 | 東京都世田谷区世田谷2-5-8 |
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受電電圧 | 6.6kV |
電車線電圧 | 直流600V |
整流器容量 | 750kW×1基 1,000kW×1基 |
開設年月日 | 1950年11月20日 |
1968年上町車庫開設前の平面図

現在の周辺地図
沿革
終戦直後の1940年代後半、沿線人口の急増によって玉川線の輸送力が限界に達しており、社内に輸送力増強対策委員会が設置されて各方面から対策が検討されました。その一環として、1943年9月から渋谷〜中里間で開始されていた2両連結運転が玉川線全線に拡大されることになりました。各停留場ホームの延伸や車両への連結器設置が進められましたが、三軒茶屋〜下高井戸間には変電所がなく、運転本数の増加によって電車線電圧が不足し、直流600Vから300V以下にまで降下する状況となりました。そこで、ちょうど中間地点の上町停留場付近に上町変電所が設置されることになりました。
1949年12月の申請書類によれば、機器類は目蒲線の新田変電所から移設され、電力源は関東配電株式会社世田谷変電所から最大電圧3,300V・常時500kWを受電するとされています。変電所の出力は平均400kW・最大1,200kW、変圧器は内蔵型油入自冷式で一次930kVA/3,500V/3相・二次1,310kVA/560V/6相・50サイクル、水銀整流器は鉄槽型水冷式で400kW・交流側560V /194A・直流側600V/666A・6相・50サイクルとされていました。
上町変電所は1950年11月に完成・使用開始され、1953年6月には玉川線全線での2両連結運転が開始されています。1969年5月の玉川線渋谷〜二子玉川園間の廃止以降も、世田谷線唯一の変電所として存続し、現在まで現役で使用されています。
玉電歴史年表・世田谷線データベースから上町変電所に関する出来事を抜粋しています。
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上町変電所が使用開始
設備の概要
1950年11月の開設当時の建屋が現在も使用されていますが、1969年の世田谷線への移行前後に変電所建屋の西側部分が増築され、建屋に接続する形で2階建ての事務所棟が設置されています。また、2006年7月には外壁の改修工事が行われ、外観が大きく変わっています。西側の道路沿いにある変圧器の搬入口は増築部分にあたり、線路側の三角屋根の部分が開設当時の建屋です。
完成当時の受電電圧は3.3kVでしたが、現在は6.6kVとなり、整流器は1980年代までに750kW×1基・1,000kW×1基のシリコン整流器に更新されています。
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上町変電所入口看板/2025年8月14日 上町変電所
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上町変電所全景/2025年8月14日 上町変電所
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上町変電所事務所棟/2025年8月14日 上町変電所
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上町変電所入口/2025年8月14日 上町変電所
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上町変電所開設時の建物(三角屋根)と増設部(平屋根)/2025年8月14日 上町変電所
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上町変電所入口と事務所棟/2025年8月14日 上町変電所