世田谷線各駅紹介 SG01三軒茶屋駅

世田谷線各駅紹介 [SG01]三軒茶屋駅
SG01

三軒茶屋

さんげんぢゃや

Sangen-jaya 三轩茶屋 산겐자야

営業キロ程三軒茶屋起点0.0km
所在地東京都世田谷区太子堂4-1-1
ホーム構造2面1線・頭端式ホーム
開業年月日1907年3月6日
1日の乗降客数30,839人(2023年度 国土数値情報 駅別乗降客数データより)

開通当時の平面図
世田谷線各駅紹介 [SG01]三軒茶屋駅
国立公文書館所蔵「三軒茶屋停留場付近軌道線路平面図(1925年1月12日付申請書)」をもとに作図
現在の周辺地図

沿革

 三軒茶屋は、大山道の旧道と新道との分岐点で、大山詣りが流行した江戸時代から交通の要衝として賑わいを見せており、玉電の開通前から沿道に料亭や商店が立ち並ぶ地域の拠点でした。同地に信楽、角屋、田中屋の3軒の茶屋があったことが、三軒茶屋の由来とされています。
 三軒茶屋駅は玉川電気鉄道時代の1907年3月、道玄坂上〜三軒茶屋間の開通と同時に三軒茶屋停留場として開業しました。世田谷区内に現存する最古の駅であると同時に、東急線全体でも最古の駅となります。
 三軒茶屋停留場の乗降場所は何度か移動しています。開業時は現在の青葉病院付近で乗降が取り扱われていましたが、1925年1月の世田谷線開通時に渋谷方面行きの乗降場所が分離され、玉川方面からの電車は現在のエコー仲見世付近、下高井戸方面からの電車は現在のブンカ名店街付近に変更されました。
 世田谷線は当初、世田谷通りを50mほど通ってから専用軌道に入っており、西太子堂(開通時は西山)にかけてS字カーブを描く線形になっていましたが、1940年代の軌道改良によって直線的な線形に改められ、専用軌道の始端部に上下線のホームが設置されました。これによって玉川方面の乗降位置も渋谷方面と同じ位置に移され、玉川方面と下高井戸方面の乗降場所が完全に分離されました。線路付替えによって空いたスペースには出札所が設置され、新玉川線三軒茶屋駅の開業まで定期券発売所として営業されていました。
 1969年5月に玉川線渋谷〜二子玉川園間が廃止されると、玉川線三軒茶屋〜下高井戸間は世田谷線として存続することになり、現在の三茶パティオ付近に起点が置かれることになりました。5月10日の終電後には、渋谷方面との軌道・電車線を分断のうえ始端部を複線から単線に敷き直し、改札口と乗車・降車ホームを設置する工事が世を徹して行われ、翌11日初電から世田谷線三軒茶屋駅として再スタートしました。
 1980年代に入ると世田谷郵便局の移転に端を発して三軒茶屋駅前再開発の機運が高まりました。1988年8月に三軒茶屋・太子堂四丁目地区第一種市街地再開発事業が都市計画決定され、世田谷線三軒茶屋駅から三軒茶屋2号踏切道上までの約150mが再開発区域にかかりました。1992年11月には再開発工事の進捗により、三軒茶屋駅が約180m後退した三軒茶屋2号踏切道先のNTT世田谷ビル横に仮移転し、プレハブの仮設駅舎とホームが設置されました。
 1996年11月、キャロットタワーの竣工にあわせて、三軒茶屋駅は低層棟に組み込まれた新駅舎とホームに再移転し、現在の姿になりました。この再移転の際に三軒茶屋〜西太子堂間の営業キロが0.1km短縮されています。1998年10月には「煉瓦造りの高層ビルの中でヨーロッパ風の駅舎にレトロな路面電車が走る駅」として運輸省(現:国土交通省)関東運輸局が実施する「関東の駅百選」に選定されました。


 玉電歴史年表世田谷線データベースから三軒茶屋駅(停留場)に関する出来事を抜粋しています。


  • 道玄坂上〜三軒茶屋間2.6km(後に玉川線と呼称)が開通

    1,067mm軌間で全線複線。
    道玄坂上停留場、大坂上停留場、大橋停留場、池尻停留場、三軒茶屋停留場が開業した。


  • 三軒茶屋〜玉川間6.0km(後に玉川線と呼称)が開通

    1,067mm軌間で三軒茶屋〜用賀間は単線、用賀〜玉川間は複線。
    上馬引沢停留場、駒沢停留場、駒沢新町停留場、用賀停留場、瀬田前停留場、玉川停留場が開業した。


  • 三軒茶屋〜世田谷間2.1km(世田谷線)が開通

    西山停留場、若林停留場、松陰神社前停留場、世田谷停留場が開業した。その後、同区間の営業キロは1940年代の三軒茶屋付近の線形変更を経て、2.0kmとなっている。


  • 玉川線渋谷接続での省線との連帯運輸開始

    玉川線側の連帯運輸範囲は渋谷接続で、大橋、三軒茶屋、玉電中里、駒沢、用賀、よみうり遊園、西太子堂、玉電若林、松陰神社前、世田谷、玉電山下、下高井戸の各停留場と省線各駅の相互間とされた。当初の発売券種は定期乗車券に限られていたが、1940年12月1日からは普通乗車券、手荷物、小荷物に広げられた。


  • 三軒茶屋停留場の駅業務を東急弘潤会に委託


  • 玉川線三軒茶屋〜下高井戸間5.1kmを世田谷線と改称して運行開始

    三軒茶屋駅では5月10日の下高井戸行き最終電車(154-153編成)通過後、玉川線との線路を切り離し、ホーム部分を2面1線化する工事が行われた。起点は三軒茶屋交差点上の玉川線分岐器始端からホーム始端付近に移され、73.2m後退した。


  • 新玉川線(渋谷〜二子玉川園間9.4km)が開通

    開通当初は8500系6両編成が渋谷〜二子玉川園間で折り返し運転され、田園都市線との直通列車は設定されていなかった。


  • 三軒茶屋駅仮駅による営業開始

    三軒茶屋・太子堂四丁目地区第一種市街地再開発事業による工事支障に伴い、11月10日終電後に三軒茶屋駅を西太子堂方に約180m移設し、11日初電から三軒茶屋2号踏切道付近(NTT世田谷ビル横)に設置された仮駅により営業が開始された。同時に三軒茶屋1号踏切道は廃止、三軒茶屋2号踏切道は休止となった。


  • 三軒茶屋駅が本設開業

    1992年11月から仮駅での営業となっていた三軒茶屋駅の新駅舎・ホームが完成し、11月15日初電から移転開業した。これにより旧三軒茶屋2号踏切道は三軒茶屋1号踏切道として復活し、新駅まで約50m延伸され、当初の駅から約110m短縮されたことから、三軒茶屋〜西太子堂間の営業キロが0.4kmから0.3kmに、三軒茶屋〜下高井戸間の営業キロが5.1kmから5.0kmに変更された。
    なお起点付近のホーム下には0.2kmポストが設置されているが、これは国道246号線上の玉川線からの分岐部を0kmとしてキロポストが設置されていることによる。


  • 世田谷線三軒茶屋駅が第2回「関東の駅百選」に選定

    「鉄道の日」記念行事の一環として運輸省(現:国土交通省)関東運輸局により実施された「関東の駅百選」の第2回選定駅に世田谷線三軒茶屋駅が選定された。選定理由は「煉瓦造りの高層ビルの中でヨーロッパ風の駅舎にレトロな路面電車が走る駅」とされた。


  • 全駅のホーム嵩上げ工事を実施

    2月10日終電後から11日初電前にかけて、全駅のホームを40cm嵩上げする工事が実施された。三軒茶屋駅はジャッキアップ、上町駅上りホームと山下駅上下ホームは木造桁、そのほかの駅は木造桁と発泡スチロールにより施工された。
    初電前に上町3:55発で307編成が三軒茶屋方面、305編成が下高井戸方面にそれぞれ確認試運転により車両限界や停止位置等の確認が行われたあと、11日は初電から定刻通り運転された。


  • 世田谷線三軒茶屋駅・下高井戸駅改札で自動運賃箱使用開始


  • 駅ナンバリング導入による駅名標更新が完了

    5月28日から順次交換され、5月31日夜に上町駅の交換をもって全駅の更新が完了した。


  • 三軒茶屋駅構内の分岐器交換により電気転轍機使用開始

    11月28日終電後に交換された。


設備の概要

 世田谷線の駅はキャロットタワーの1階に直結して設置されています。田園都市線三軒茶屋駅からは200m弱離れており、地下通路から三茶パティオを抜けて、階段・エスカレータで1階に上がる必要があるため、乗換えには少なくとも5分程度は必要です。
 駅舎はキャロットタワーのデザインに合わせて煉瓦作りとされ、2面1線の頭端式ホームの上家にはヨーロッパの始発駅を感じさせるドーム形が採用されています。駅舎1階に改札窓口と定期券発売機が設置された有人駅で、乗車ホーム入口には自動運賃箱が設置され、事前収受方式が採られています。2階部分は駅事務室となっています。また、駅舎の入口には三軒茶屋観光案内所「SANCHA³」が設置されています。乗車ホームの入口は1箇所のみですが、降車ホームには下高井戸方にスロープ付きの出入口が設けられており、ホーム上は歩行者専用の自由通路としても活用されています。

  • 三軒茶屋駅降車ホーム駅名標/2024年10月6日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅降車ホーム駅名標/2024年10月6日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅乗車ホーム下に設置された0.2キロポスト/2025年1月29日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅乗車ホーム下に設置された0.2キロポスト/2025年1月29日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅乗車ホーム下に設置された0.2キロポスト/2025年1月29日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅乗車ホーム下に設置された0.2キロポスト/2025年1月29日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅乗車ホーム下に設置された0.2キロポスト/2025年1月29日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅乗車ホーム下に設置された0.2キロポスト/2025年1月29日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅舎駅名表示/2025年8月16日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅舎駅名表示/2025年8月16日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅舎/2025年8月16日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅舎/2025年8月16日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅舎/2025年8月16日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅舎/2025年8月16日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅改札口/2025年8月16日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅改札口/2025年8月16日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅ホーム全景(乗車側ホーム三軒茶屋方)/2025年8月16日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅ホーム全景(乗車側ホーム三軒茶屋方)/2025年8月16日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅ホーム全景(乗車側ホーム三軒茶屋方)/2025年8月16日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅ホーム全景(乗車側ホーム三軒茶屋方)/2025年8月16日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅ホーム全景(降車側ホーム下高井戸方)/2025年8月16日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅ホーム全景(降車側ホーム下高井戸方)/2025年8月16日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅全景/2025年8月16日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅全景/2025年8月16日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅ホーム全景(下高井戸方)/2025年8月16日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅ホーム全景(下高井戸方)/2025年8月16日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅ホーム全景(降車側ホーム三軒茶屋方)/2025年8月16日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅ホーム全景(降車側ホーム三軒茶屋方)/2025年8月16日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅ホーム全景(降車側ホーム三軒茶屋方)/2025年8月16日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅ホーム全景(降車側ホーム三軒茶屋方)/2025年8月16日 三軒茶屋駅

世田谷線写真アーカイブから

 世田谷線写真アーカイブから三軒茶屋駅で撮影した写真を抜粋しています。

  • ラッピング作業のため終電後の三軒茶屋駅に到着した301編成/1999年7月5日 三軒茶屋駅
    ラッピング作業のため終電後の三軒茶屋駅に到着した301編成/1999年7月5日 三軒茶屋駅
  • 304編成「生茶」下りの営業初列車/2000年7月8日 三軒茶屋駅
    304編成「生茶」下りの営業初列車/2000年7月8日 三軒茶屋駅
  • 上町行きに方向板を変更中のデハ81号玉電塗装/2000年12月22日 三軒茶屋駅
    上町行きに方向板を変更中のデハ81号玉電塗装/2000年12月22日 三軒茶屋駅
  • 世田谷線の旧型車両最終列車となった上町行き152-151編成の発車前に花束をお渡ししました/2001年2月11日 三軒茶屋駅
    世田谷線の旧型車両最終列車となった上町行き152-151編成の発車前に花束をお渡ししました/2001年2月11日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅に停車中の307編成「コカ・コーラ・ワールドカップサッカー2002」/2002年4月1日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅に停車中の307編成「コカ・コーラ・ワールドカップサッカー2002」/2002年4月1日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅に停車中の301編成「『サザエさん』マナー告知」/2002年6月9日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅に停車中の301編成「『サザエさん』マナー告知」/2002年6月9日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅に停車中の304編成「生茶」/2002年6月9日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅に停車中の304編成「生茶」/2002年6月9日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅に停車中の306編成「世田谷線沿線イベント」/2003年10月21日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅に停車中の306編成「世田谷線沿線イベント」/2003年10月21日 三軒茶屋駅
  • 三軒茶屋駅に停車中の303編成「世田谷線沿線イベント」/2003年10月21日 三軒茶屋駅
    三軒茶屋駅に停車中の303編成「世田谷線沿線イベント」/2003年10月21日 三軒茶屋駅