玉川電気鉄道初のボギー車として枝光鉄工所で製造された。
玉川電気鉄道時代は固有の形式称号が定められておらず、車両竣工図表では「形式称号ボギー客車」とされている。
玉川電気鉄道 16〜21号 1920年〜1938年
東京横浜電鉄 16〜21号 1938年〜1942年
東京急行電鉄 デハ1形(デハ1〜6号) 1942年〜1953年
1920年9月の1,372mm軌間への改軌から3ヶ月遅れて、同年12月に登場した玉川電気鉄道初の木造ボギー車です。1921年1月にかけて5両が枝光鉄工所で製造されました。車両竣工図表上の形式称号は「ボギー客車」で別仕様の車両と同様とされたため、玉川電気鉄道16号形と区分されている資料もあります。
この車両ではデッキに引戸がつけられ、乗務環境が改善されました。当初は電制と手用ブレーキのみ装備されていましたが、1928年に空制装置が取り付けられ、翌年手用ブレーキは撤去されました。また1927年には警笛をフットゴングからホイッスルに変更、1935年には運転速度向上により尾灯が取り付けられました。尾灯は当初はガイコツ形1灯でしたが、1950年前後に埋め込み2灯へ変更されています。
1942年の東京急行電鉄成立による一斉改番により、デハ1形の形式称号が付与され、16号から順番にデハ1〜6号に改番されました。第二次世界大戦後の混乱期まで走り抜きましたが、木造車体の老朽化が進んだことにより、1952年から1953年にかけて鋼製車体化の名目で東急横浜製作所で新製された車体と、種車から流用された台車等一部機器を組み合わせて艤装され、デハ80形に編入されました。なお1952年には鋼製車体化の過程で不要となったデハ4・6号の車体が、オープンデッキのまま残されていたデハ11・12号に載せ替えられました。
玉電歴史年表から
玉電歴史年表から16〜21号・デハ1形(デハ1〜6号)に関する出来事を抜粋しています。
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16〜18号が入籍
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19〜21号が入籍
16〜18号と同形車で、枝光鉄工所で製造された。
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東京横浜電鉄と玉川電気鉄道が合併、同社の玉川線となる
合併時点の資本金は東京横浜電鉄が3,000万円、玉川電気鉄道が1,250万円。
東京横浜電鉄には電動客車52両、電動貨車5両、貨車13両が編入した。
また玉川電気鉄道時代は各支線に路線名が付けられ、渋谷〜天現寺橋間は天現寺線、渋谷橋〜中目黒間は中目黒線、三軒茶屋〜下高井戸間は世田谷線、玉川〜砧間は砧線、玉川〜溝ノ口間は溝ノ口線と呼称されていたが(同社による一部申請資料には天現寺橋〜砧間を玉川線と呼称している例もみられる)、合併前後から軌道線全線の路線名を玉川線に統一している。
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東京急行電鉄成立に伴う車両改番を実施
小田急電鉄、京浜電気鉄道との合併による東京急行電鉄成立に伴い車両番号が整理され、旧玉川電気鉄道の車両は0〜900番代が割り当てられた。
16〜30号がデハ1形デハ1〜15号、36〜45号がデハ20形デハ20〜29号、46〜55号が30形デハ30〜39号、56〜66号がデハ40形デハ41〜51号、71〜75号がデハ60形デハ61〜65号、無蓋貨車8〜20号がト1形ト1〜13号に改番された。
なお申請文書には東京横浜電鉄時代の旧番号に、旅客車は「モハ」、無蓋貨車は「ト」の形式称号が付与されているが、付与された時期は不明。
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集電装置をトロリーポールからビューゲルに取替完了
5月14〜15日に全車両のトロリーポールからビューゲルへの一斉取替えが行われた。
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デハ6号が鋼製車体化、デハ88号に改番
東急車輛製造で製造された鋼製車体に廃車車両の機器を流用したうえで完成したが、新製車両ではなく車体更新扱いとなった。デハ1形からデハ80形に編入された。
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デハ4号が鋼製車体化、デハ89号に改番
東急車輛製造で製造された鋼製車体に廃車車両の機器を流用したうえで完成したが、新製車両ではなく車体更新扱いとなった。デハ1形からデハ80形に編入された。
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デハ2号が鋼製車体化、デハ97号に改番
東急車輛製造で製造された鋼製車体に廃車車両の機器を流用したうえで完成したが、新製車両ではなく車体更新扱いとなった。デハ1形からデハ80形に編入された。
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デハ3号が鋼製車体化、デハ96号に改番
東急車輛製造で製造された鋼製車体に廃車車両の機器を流用したうえで完成したが、新製車両ではなく車体更新扱いとなった。デハ1形からデハ80形に編入された。
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デハ1号が鋼製車体化、デハ100号に改番
東急車輛製造で製造された鋼製車体に廃車車両の機器を流用したうえで完成したが、新製車両ではなく車体更新扱いとなった。デハ1形からデハ80形に編入された。
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デハ7号が鋼製車体化、デハ99号に改番
東急車輛製造で製造された鋼製車体に廃車車両の機器を流用したうえで完成したが、新製車両ではなく車体更新扱いとなった。デハ1形からデハ80形に編入された。
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デハ5号が鋼製車体化、デハ101号に改番
東急車輛製造で製造された鋼製車体に廃車車両の機器を流用したうえで完成したが、新製車両ではなく車体更新扱いとなった。デハ1形からデハ80形に編入された。
主要諸元表
1930年代の車両竣工図表に記載されたデータを掲載しています。
最大寸法 | 長さ11,734mm×幅2,286mm×高さ3,695mm |
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自重 | 15.95t |
定員 | 70(座席38)人 |
客室面積 | 16.57平方メートル |
集電装置 | トロリーポール |
台車 | ブリル76-E1(後にTD-1と呼称) |
駆動方式 | 吊掛式 歯車比64:15=4.27 |
主電動機 | TDK9-C 直流直巻 出力37.3kW |
制御装置 | DB1 K-13 東洋電機 |
ブレーキ装置 | 空気ブレーキ:ウェスティングハウス SM-3 電気ブレーキ:DB1 K-13 |
電動空気圧縮機 | DH-16 |
点灯装置 | 前照灯:2個 標識灯:2個 車内灯:6個(予備灯:3個) 運転台灯:2個 方向幕灯:4個 |
設計最高速度 | 46km/h |
製造所 | 枝光鉄工所 |