宮の坂駅付近の主な名所・旧跡
- 豪徳寺
宮の坂駅前の通りを東に少々行くと豪徳寺の参道が見えてきます。豪徳寺は、15世紀後期に世田谷城主であった吉良氏が創建した引徳院を由来としていますが、1633年に世田谷を治めるようになった井伊家の菩提寺となり、現在の豪徳寺と改称されています。境内には井伊家歴代の墓があり、1860年に桜田門外の変で暗殺された井伊直弼の墓もここにあります。
また豪徳寺は言わずと知れた招き猫の発祥の地で、井伊氏が猫に手招きで寺に寄ると、大変な雷雨となったことから、幸福を招く猫のいる寺として大事にされ、福を呼ぶ招き猫として現在の形が全国的に広まったとされています。
境内には招猫観音堂があり、隣の奉納所には招き猫が所狭しと並べられています。近年ではこの様子がSNSで話題になったことで、外国人観光客が数多く訪れるよう国際的人気スポットになりました。寺務所では大小7種類の招き猫が売られていますが、大人気で品薄状態が続いているようです。 - 保存車両601号
宮の坂駅下りホームに横付けされる形で保存されている緑色の電車があります。この車両は1990年の宮坂区民センター建設時に江ノ電から来た601号車です。元々は玉電の木造車デハ29号で、1953年に川崎車輛で製造された鋼製車体に載せ替えたうえでデハ104号となりました。玉電廃止後はデハ87号に改番され世田谷線に残りましたが、1970年に江ノ島鎌倉観光(現:江ノ島電鉄)に譲渡され601号となりました。江ノ電では一番大きな車両として活躍しましたが、新型車両の導入に伴い1990年に引退したものを世田谷区が呼び戻し、建設中の宮坂区民センターで保存されることになりました。現在は緑一色の姿ですが、現役当時には緑一色になったことはなく、登場時から現在までの塗装のバリエーションは6パターンにも及びます。
宮坂区民センターの開館中は車内も開放され、地域の憩いの場所になっています。 - 宮坂区民センター
宮坂区民センターは宮の坂駅前にある公民館で、会議室や体育館などを備えるほか、世田谷区シルバー人材センターなどが入っています。1990年に宮の坂駅下りホームの改築と同時に建設され、駅と整合性のあるデザインとなっています。また、区民センター入口には、ホームに横付けされる形で玉電から江ノ電へと譲渡されたのち、里帰りしてきた江ノ電601号車が保存されています。
- 世田谷八幡宮
宮の坂駅前の通りを西に進むとすぐに見えるのが世田谷八幡宮です。世田谷八幡宮は源義家が11世紀後半の後三年の役の勝利を祝って創建したとされ、1546年に吉良氏の手によって社殿が建立され、神社として整備されました。この頃から境内にある土俵で奉納相撲が行われるようになり、毎年9月15日前後に行われる大祭で現在も東京農業大学相撲部などによる奉納相撲が行われています。この大祭では、豪徳寺商店街から世田谷線の線路を横切って神輿が繰り出し、周辺には露天が並び大変な賑わいを見せます。